スターリンク(Starlink) が、日本の上空から「宇宙インターネット接続網」のサービスを開始して半年以上が経過しました。しかし、まだ、以下のような疑問をお持ちの方も少なくないかもしれません。
そこで当記事は、スターリンクのメリットとデメリット、利用料金、ハイテックナビとの相性、通信速度、申し込み方法など詳しく解説します。
お得なキャンペーンについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
今直ぐに車両用に使えるお得なWi-Fi通信環境が欲しいという方は、以下の関連記事をご参照ください。
目次
スターリンクは、日本時間2019年5月24日11:30に打ち上げられたファルコン9ロケットに搭載して、低軌道に放出された60基の衛星のことです。この衛星は高度550kmと衛星の中ではもっとも低い軌道を周回します。2023年6月時点では、既に4,543基が軌道に投入されています。
例えば、静止衛星の高度は36,000kmですから、スターリンクは60倍以上も地表に近い軌道にあることになるのです。インターネット接続網を目的としていますから、地表に近ければ近いほど通信速度は速くなり、遅延障害も発生しにくくなるので理に適っています。
地球を周回する人工衛星は、2019年5月時点で8,000機以上といわれていましたが、今後スターリンクは年間1,000~2,000基のペースで打ち上げ、計画では計12,000基にするとしています。
スターリンクが計画どおりになれば、単純計算で地表約210km角に1基のスターリンク衛星が存在することになるのです。つまり、世界のどこにいようとも、電波が通じないということは特定の環境でない限りあり得ません。
スターリンクには、5つのメリットと3つのデメリットがあります。
メリットと評判も見てみましょう。
宇宙インターネット接続網であるスターリンクの最大のメリットは、これまでインターネットと接続できなかった以下の場所でも使用できることです。
インターネットに接続できない場合やつながっても速度が遅すぎるときに、専用アンテナと電源さえあれば、快適なインターネット通信が可能になります。
人工衛星から接続されるインターネット網は、大地震や津波が発生した場合でも設備が影響を受けにくいため、通信障害は発生しないでしょう。実際、2022年1月に発生したトンガの火山噴火で海底ケーブルが切断された際、緊急でスターリンクが提供されました。
スターリンクは、個人向けのレジデンシャルプランの下り速度の目安を50~200Mbpsとしています。ネットを利用した場合に必要な、回線速度は以下のとおりです。
スターリンクは現状インターネット光回線には劣りますが、ホームルーターやポケットWi-Fiと比べると、通信速度が速いといわれています。2023年7月現在、スターリンクは想定値になりますが、従来のものと比較してみました。
インターネット接続サービス会社 | 上り平均速度 | 下り平均速度 | Ping値(レイテンシ) | |
スターリンク レジデンシャル(想定値) | 5~15Mbps | 50~200Mbps | 25~50ms | |
スターリンク ROAM(旧RV)(想定値) | 2-10Mbps | 5-50Mbps | 25~50ms | |
光回線 | ドコモ光 | 260Mbps | 281Mbps | 21ms |
ソフトバンク光 | 285Mbps | 317Mbps | 17ms | |
au光 | 496Mbps | 512Mbps | 18ms | |
ホームルーター | Softbank Air(モバレコAir) | 10Mbps | 72Mbps | |
WiMAX | 17Mbps | 80Mbps | 49ms | |
ポケットWi-Fi | WiMAX | 7Mbps | 46Mbps | 53ms |
ソフトバンク | 16Mbps | 32Mbps | 44ms |
引用元:スターリンク公式、みんなのネット回線速度
上り下り速度は、利用するコンテンツにより異なるため幅がありますが、持ち運びができるROAMプランの場合でもポケットWi-Fiに比べて速いことが分かります。
また、光回線の場合でも都心部の利用者が多い時間帯では、急激に回線速度が落ちることが頻繁に発生していますが、スターリンクはそのようなことが少ないとも言われているのです。
出典:Yahoo News
スターリンクは、申し込むと上の画像のとおりルーターとアンテナが届きます。持ち運びができるROAMプランは業者でないとできないような特別な工事は必要ありません。そのため、ベランダなどにアンテナを取り付けてルーターとつなぎ、電源を入れるだけで、直ぐに使えるという手軽さがあります。
ただし、固定式のアンテナを取り付けるレジデンシャルプランの場合には、住宅の屋根など空が全方位見渡せる位置に取り付ける必要がありますので、業者に依頼する必要があるかもしれません。業者に依頼すると5,500円から25000円程度の工事費がかかります。
アンテナとルーターの持ち運びができるROAMプランの場合、使用しない月は料金が無料になります。そのため、非常用に準備しておきたいという方や、車で遠出する際にしか利用しないという方にはメリットがあるでしょう。
スターリンクは、30日間お試し期間が利用できます。申し込み当初は40,000円以上のデポジットがかかりますが、期間内に返送すると全額返金が受けられます。
通信速度が期待したほどではないなどの理由で返品できるので、試してみたいという方にはメリットがあるでしょう。
出典:Twitter
この方は、NTT西日本の光回線よりも速いというご指摘です。しかも、半額になり安いことに注目されています。
出典:Twitter
この方は、スターリンクの速度を実際に計測したようですが、123.4Mbpsといえば4K動画の必要通信速度は20Mbpsなので、楽々観れるスピードになります。
出典:Twitter
こちらの方はROAMプランでしょうか、速度テストは188.2Mbpsを記録しています。
出典:Twitter
こちらの方は、スターリンクが量子インターネットに置き換えられていると指摘。かなり、深い情報をお持ちのようですが、事実です。スターリンクは、宇宙インターネット接続網を実現しただけではなく、次世代の量子インターネット化を目指しています。
宇宙空間は、光の減衰が殆どないためスターリンクは光ファイバーとは違い、量子インターネット網(量子通信)として理想的なインフラといえるのです。
スターリンクはメリットばかりが目立ちますが、デメリットもあります。
メリットにあったように、レジデンシャルプランは月額6,600円に以前の料金の半額になっていますので、許容範囲に入ってきましたが、初期費用は40,000円以上かかります。そのため、光回線よりもコストがかかることがデメリットといえます。
スターリンクは、設置するアンテナの周辺に建物や樹木などの障害物があると、衛星の電波を受信できず、通信障害や遅延が発生することがあります。住宅街の戸建ての場合は、屋根や屋上に設置できますが、マンションなどの場合はベランダに設置することになるため、時間帯によっては壁面が障害となってしまうことがあるのです。
今後は、マンションなどの屋上に設置して、共同で利用できるアンテナが発売される可能性もありますが、2023年7月現在、そのような製品は発表されてません。
ROAMプランは持ち運びできますが、移動する車で使用するとはできません。移動中に利用できるモビリティプランがありますが、アンテナとルーターなどの初期費用が約35万円、月額利用料も約35,000円と個人用としては高すぎます。
ただし、スターリンク運営するSpace Exploration Technologies(以下、SpaceX)を率いるイーロン・マスク氏は、スマートフォンでも直接利用できるように開発していると発言しており、2023年後半に提供を開始する予定と言われています。近々個人向けの移動体通信プランが発表されるかもしれませんので、注目しておきましょう。
出典:Twitter
この方のツイートは、昨年11月のもので、スターリンクがサービスを開始した10月の翌月のものですからご指摘のとおりです。しかし、現在は初期費用や月額利用料は半額ですから、許容範囲といえるでしょう。
また、通信速度は量子通信に順次切り替わってきていますから、今後はさらに高速化して置き換わる可能性があります。
出典:Twitter
スターリンクは海外のプロバイダーになるため、日本のASP(アプリケーションサービスプロバイダ)が、海外からのアクセスと判断している場合は、遅くなったり、サービス自体利用できないことがあるようです。
しかし、スターリンク利用者が増加した場合、日本のASPも対応せざるを得なくなりますから、今後はこのような弊害は減少していくものと期待できます。
スターリンクの2023年7月時点のサービスエリアは、以下のMap画像水色の地域です。ブルーの地域はサービスを開始予定の地域になり、グレーの地域は、現状計画もない地域になります。
アジアでは日本とフィリピンでサービスが開始されています。またオセアニア地域では、オーストラリアとニュージーランドでサービスを提供しています。国内は東京の一部地域で、申し込みから数か月の待ち時間が発生しているとも言われています。
以下のスターリンクサービスエリアでご自身のエリアがどうかを確認してみましょう。
スペースXでは、スターリンクのスマートフォン向けプランの提供は、2023年後半に開始するとコメントしています。2023年7月現在はサービスを開始するとの発表はありませんが、衛星と地上間の基地局システムの開発を行っているとみられます。
これまで、アンテナとルーターの持ち運びができるROAMプランでは、移動中の接続はできなかったため、スマホプランのサービスが開始されると革新的といえます。宇宙インターネット接続網の空にある衛星と接続できるという最大の利点が生かせるからです。
出典:ソフトバンクニュース
現状は、地上から衛星までの間に建造物などの障害物があると通信障害が発生する仕様ですから、評判にもあったように都心部には向ていないとされます。しかし、利用者が多い都心部では、従来の基地局からの吹込み方式や光中継方式で、既に地下鉄でもスマホの電波が繋がる技術が確立されています。そのためスターリンクの地上基地局があればスマホへのサービスを充実させることは、難しいことではないと考えられます。
さらに、量子通信技術が進歩すれば、これまでにない通信効率が実現するとされますので、スマートフォン向けサービスには理想的なインフラとなるでしょう。
スターリンクとハイテックナビの相性は、スターリンクのスマホプランが提供されると一気に普及するとあとづけ屋ではみています。ハイテックナビはAndroid OSやシステムをベースにしているからです。
また、スターリンクが量子通信によるインターネット網を確立した場合、自動運転の技術革新が加速することになると言えるでしょう。
つまり、スターリンクとテスラが行っている自動運転技術開発、Googleが実施している自動運転タクシー経営によるこれまでの自動運転に有効で膨大なデータが活かされ、自動運転レベル5が、一般車でも実用化される可能性が高まります。このことは、例えばSUBARUのコネクテッド機能にも現れてきているのです。
ハイテックナビに搭載しているAndroidアプリの中には、既に車両の情報を管理するアプリが複数にあります。このように、Androidもどんどん進化していますので、いずれはハイテックナビ(Androidナビ)が車の集中管理システムに進化して自動運転の制御システムになる可能性もあるのです。
スターリンクは2023年1月より、期間限定で個人向けプランを対象にキャンペーンを実施しています。その内容は以下のとおりです。
スターリンクプラン | 通常価格 | キャンペーン価格 | ||
初期費用 | 月額利用料 | 初期費用 | 月額利用料 | |
レジデンシャルプラン | 73,000円 | 13,200円 | 36,500円 | 6,600円 |
レジデンシャルプラン住所追加オプション | – | 5,200円 | – | 2,600円 |
ROAMプラン | 73,000円 | 19,800円 | 36,500円 | 9,900円 |
ビジネスプラン | 365,000円 | 28,000円 | – | – |
モビリティプラン | 約35万円 | 約35,000円 | – | – |
マリタイムプラン | 約136万円 | 約68万円 | – | – |
ROAMプランの月額利用料については、利用しない月は無料となります。各初期費用には、Starlinkキット(ハードウェア)の送料は含まれていません。
また、個人向けのプランには30日間の無料お試し期間がありますが、一旦デポジットとして、初期費用と月額利用料1か月分を支払う必要があり、期間中に「Starlinkキット」を返品することで払い戻しが受けられる仕組みです。
モビリティプランの初期費用は、2,500ドル(約35万円)とサイトには記載されていますが、2023年7月現在日本からは注文できませんが近々注文できるようになるとみられます。なお、個人向けプランのキャンペーン期間については現状発表されておらず、いつ終了するかは不明となっています。
スターリンクの申し込みは、Starlink公式サイトから行えます。
SERVICE ADDRESSの欄に、設置したい住所を英字で記載してORDER NOWボタンをクリック(タップ)すれば、申し込み画面が表示されます。必要事項を記入して、デポジットをクレジットカードで支払い、ORDERボタンをクリック(タップ)すれば、サービスエリアにもよりますが、たいていの場合数日で届きます。
申し込み方法は以下のとおりです。
①プランを選択します。
②登録住所を日本語で入力します。
③「Oder Now」をタップ(クリック)します。
上の画像のとおり、
①チェックボックスにチェックを入れます。
②名前、苗字をローマ字で入力します。
③電話番号を記入します。(携帯番号可)
④Eメールアドレスを記入します。
⑤支払方法で使用するクレジットカードの名義人をローマ字で記入します。
⑥郵便番号をハイフン無しで記入します。
⑦クレジットカード番号を記入します。
⑧クレジットカードの利用期限を記入します。
⑨クレジットカードの裏面に記載されている3桁のセキュリティコードを記入します。
利用料金を確認の上、問題なければ「PLACE ORDER」(注文するの意)をクリックしてください。登録したEメールアドレスに確認メールが届きますので、「承諾」すれば、注文は確定します。
お申込みされる場合は、以下のスターリンク公式サイトにアクセスして、お申し込みください。
スターリンクを解約したい場合は、以下の手順で行います。
以上で、キャンセルが確定します。
スターリンクのサポートは、以下のリンクでF&Qが閲覧できます。
スターリンクは、既に計画の38%の衛星を打ち上げており、一部の国や地域を除いてサービスを展開するとしています。また、運営会社のスペースXでは既に単体で黒字化している模様です。
一方、スターリンクの対抗馬として、Amazonの子会社である「Kuiper Systems LLC」が、3,000基以上の人工衛星を打ち上げることを国連の専門機関である「国際電気通信連合(ITU)」に申請しています。
出典:businesswire
以来、全地球を網羅するインターネット通信網「Project Kuiper」とし、2023年3月14日に3種類のアンテナを発表しました。
出典:businesswire
最大100Mbpsの持ち運びできるものから、最大1Gbpsを提供する高性能アンテナまで顧客が用途に応じて選択できるとしています。ただ、アンテナとルーターの価格は500ドルとしているため、先行しているスターリンクの方が初期費用に関しては既に安いといえるでしょう。
また、「Project Kuiper」のサービス開始は2024年からとしており、来年からはスターリンクとの競争が激化しそうな状況です。しかし、初期費用が既に半額でスマートフォン向けプランが2023年中に開始される予定のスターリンクが、完全に先行していることからみて、先行しているスターリンクに軍配があがりそうとも言えます。
スペースX社が提供する宇宙インターネット通信網「スターリンク」について、メリットや申し込み方法、キャンペーン、対抗馬まで解説しました。スターリンクは日を追うごとに進化しており、量子レベルの通信と処理能力に期待が集まっています。
これまでのインターネット接続サービス(ISP)は、世帯ごとに展開されてきました。しかし、スターリンクはIDさえ持っていれば、地球上のどこでも利用することが可能になります。
スペースXでは、日々様々な研究と実験が行われており、自動運転レベル5の一般車での実現が目先に迫っている模様です。今回のスターリンクの個人向け半額キャンペーンにより、かなり導入しやすくなったため、利用者が急増しているともいわれています。
あとづけ屋としても、既にスターリンクを導入しており、様々な研究と実験を行っています。導入をご検討される際に、ご質問など御座いましたら、お問い合わせ頂けましたら幸いです。
☞ カーWi-Fi KEIYO 車載用wi-fiルーター | ハイテックナビやAndroidナビにお得な接続の仕方
EV車関連のニュースを定期的に配信しています。
EVニュース(2023年6月1日~30日)SEMA特集 | まとめ
EVニュース(2023年5月1日~15日) Inside EVs | まとめ